2018/10/15

ウエイト女子は優しくて

加藤智子先生 & 西山陽先生

国体の季節になると、なぜか翌年の全日本選手権の開催地が気になってしまう。

昨年の愛媛国体観戦中も、ふとそれが気になった。
どなたか役員の方にお聞きすればわかるのではと思いながら歩いていると、最初に出会った方が加藤智子先生だった。

いきなり呼びかけ、尋ねる管理人。
すると、「石川県の金沢です」と即答してくださった。
さらに、ご親切な加藤先生。
体育館の名前まで教えてくださろうとする。
ところが、それがなかなか思い出せない様子。

「え~と… あの~ え~と… 何だったっけ… え~と…」
一人悶々とされる先生。
「高校選抜のところじゃなくて… あの… え~と… 女子の都道府県の…」
一生懸命、思い出そうとしてくださった。

「先生、ありがとうございます。それだけで十分です」と管理人。

“いしかわ総合スポーツセンター”
先生が思い出そうとしてくださったのは、この名称である。

何とかそれを伝えようとしてくださる加藤先生。
お優しくて… 可愛くて…
管理人はハグしたくなった。

そして今年の福井国体。
またまた、来年の全日本選手権の開催地が気になり始めた。

たまたま近くにおられた西山陽先生にお聞きした。
悩ましげな表情をされる先生。
「全日本… 全日本… う~ん… ごめんなさい… わからない…」

その後、管理人は先生の軽快なフットワークを目の当たりにすることとなった。
役員の方を見つけると、次から次へと走って行って聞いてくださる西山先生。
その行動力に感嘆した。

ある方から「岩手」という地名が出るには出たが、定かではないとのことで、申し訳なさそうに、「ごめんなさい…」と頭を下げてくださる西山先生。
とんでもない。
「先生、もう忘れてください」と管理人。

その後の試合でレフリーを務められる西山先生。
レフリングに影響が出ては大変である。
(それはないか!!)

そして翌日。
管理人を見つけると、先生が駆け寄って来てくださった。
「わかりました!! やっぱり岩手の奥州です!」
とても嬉しそうな西山先生。

お優しくて… 可愛くて…
またまたハグしたくなった。

加藤先生と西山先生。
サンプルは少ないけれど、以上のことから管理人が導き出した結論はこうである。

ウエイト女子は、何事にも一生懸命!!
優しくて、可愛くて、熱くて… そして… 強い。

人に感動を与えるのは、偉大な成果を出すことだけではない。
両先生の誠意が、管理人に小さな感動を与えてくれた。

管理人の好きな聖書の言葉に次のものがある。
「小さい事に忠実な人は、大きい事にも忠実であり、小さい事に不忠実な人は、大きい事にも不忠実である」

小さなことをなおざりにする人が、大きなことを成し得るとは思えない。
今を大切にできない人が、未来を語れるとも思えない。

今、目の前で起きている小さなことと誠実に向き合い、少しだけ丁寧に生きてみる。
その積み重ねが人生である。

管理人に感慨を与えてくれた、優しくて可愛いウエイト女子は他にもいる。
また、近いうちに紹介したいと思う。
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2018/09/24

柏木父娘の場合

何年前になるだろう。
今でも忘れられない光景がある。
場所は、大阪・はびきのコロセアム。

不本意な結果のようだった。
当時、大学生だった柏木悠里さん(現・鳥羽高校WL部顧問)は6本の試技を終え、プラットを降りると、着替えもせずに観戦席の父・佳久氏のもとへ向かった。
隣の席は空いていたが、彼女はそこには座らなかった。
佳久氏の真正面に膝をついて対峙し、父の言葉に真摯に耳を傾けていた。

5分? いや10分?
そんなに長い時間ではなかったかもしれない。
けれども管理人には非常に長く感じられた。
しばらく二人から目を離すことができなかった。

管理人の心の中を見透かしたかのように、隣に座っていた姪が言った。
「悠里ちゃん、柏木先生にいつも敬語やで」
そして、反対側に座っている姉に「私、お母さんに敬語使うなんて考えられへんわ」と言っているのを、遠くに聴いた。

なおも管理人は、父と娘を見つめていた。

娘というのは、父親のことを恐ろしく嫌う一時期を通過するものである。
それは、健全な子孫を残すために、遺伝子的に近い異性を遠ざけようとする生物としての本能(主に匂いによる)に起因すると言われている。

それゆえ管理人は、思春期の娘に嫌われていると嘆く世のお父さんたちを、しばしば励ましてきた。
「それは本能だから仕方がないよ。その時期を耐え抜いたら、また戻ってきてくれるから… でも、例外もあるよ。」
慰めておいて、最後に再び地獄に突き落とす^_^;

何事にも例外はあるものの、かつて父親を嫌っていたが、今は大好きだと言う多くの娘たちを、管理人は目の当たりにしてきた。
過去に約1500組のブライダルMCを担当したが、「両親への手紙」に、それらの思いを率直に綴る数百人の花嫁たちを実際に見てきたのである。

話を戻そう。

そういったデリケートな時期を、父と娘という関係だけではなく、師弟という関係で過ごした柏木父娘。

悠里さんにもまた、父親を避けたいと思った時期があったのだろうか。
それとも、どこまでも尊敬すべき師だったのだろうか。

こればかりは、管理人の想像力が及ばない。
機会があれば、本人に聞いてみたいものである。

彼女が姪と話している姿を見て感じたその礼儀正しさは、父の教え?
それとも、恩師のそれ?
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2018/08/27

リフター魂99 川﨑菜々紗選手

“元祖”美女リフター”の長女は、ウエイトのセンスも母から受け継いだ美女リフター。
川﨑菜々紗選手。中学1年生。
母は現役時代、世界選手権2位の実績を持つ海洋高校の川﨑さと美先生である。

「高校からでは遅い」と、海洋ジュニアウエイトリフティング教室で、多くの子供たちの指導に熱心に取り組んでおられる。
菜々紗選手を含む、3人の先生のお子様も所属している。

先日のインターハイ観戦時、わずか1時間の滞在だったが、その大半をさと美先生とご一緒させていただいた。
元リフターである管理人の姪が出産した話をすると、間髪入れずに先生からこんな言葉が…
「じゃあ、将来はウエイトを。ガラガラは、バーベル型ですね」
さと美先生の頭の中は、ウエイトのことで一杯である。

菜々紗選手がバーベル型のガラガラで遊んでいたかどうかはわからないが、さと美先生は育休中も子供連れで合宿に参加されていた。
本物のバーベルが奏でる音を子守唄に、菜々紗選手はすくすくと育ったのではないだろうか。
いや、それよりも前…
母の胎にいる時から、彼女はそれを聴いていたかもしれない。

そんな彼女の全国デビューは鮮烈だった。
今年の3月、全日本ジュニア選手権に小学生の身分で出場し、7位入賞を果たす。
同大会への小学生の出場そのものが、男女通じて史上初である。

今春、中学生になった彼女。
今月行われた全国中学生選手権に出場し、44キロ級ジャークで中学新記録を打ち立てた。
スナッチとトータルは、次回に持ち越し。
大人たちに、今後の楽しみを与えてくれた。

成長過程の彼女。
母娘が見つめているのは、2024年パリ五輪?


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川﨑親子(インターハイにて)
長男の涼雅君も全中69キロ級で優勝
ここにはいないが、やがて次女の心々菜ちゃんも全国デビュー?

管理人はこの時、菜々紗選手が小学生で全日本ジュニアに出場していたことは全く知らなかった。
あれだけメディアに取り上げられていたのに、さと美先生は、そのことには一切触れなかった。
先生のお話は、1週間後に控えていた全中のことだけ。

過去の栄光は、何も新たなものを生み出さない。
先生はそれを知っておられる。
大切なのは「未来」。
そのために、もっと大切なのは「今」…

リフター魂57 “元祖”美女リフター


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2018年全国中学生選手権で最優秀選手に選ばれた2選手


☆85キロ級 西川勝之選手(3種目で中学新記録樹立)

姪が大変お世話になった西川智之先生・真美さんご夫妻の愛息。
バーベルが奏でる音を子守唄に育ったかどうかはわからないが、幼き頃から両親に連れられ全国遠征に出かけていた彼。
トップリフターが集う試合会場で、その波動を肌で吸収し、それを潜在意識に落とし込んでいたことだろう。
そしてそれは、ご両親から受け継いだポテンシャルを開花させる一助になったかも…

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西川親子(インターハイにて)
まー君、大きくなったね~
親戚のオバちゃん化している管理人^^;

リフター魂11 西川智之先生


☆48キロ級 山下笑佳選手(スナッチで中学新記録樹立)

こちらも、“元祖”美女リフターの「娘」である。
浅田久美先生の遺伝子こそ受け継いでいないが、その精神は受け継いでいるはず。
SDC・山下ウエイト4兄妹弟の紅一点。
すでに、世界の舞台を踏んでいる。
これからもウエイトだけではなく、全てのことに「一笑謙明」(←久美先生の言葉^^)向き合って行く♪

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笑佳ちゃんの弟のよっちゃん(特別出演)
管理人がカメラを向けると、“久美ママ”は、そっと彼の身だしなみを整えた(*^^)v
(2014年全中にて)

リフター魂88 浅田久美先生とSDC
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2017/04/13

リフター魂88 浅田久美先生とSDC

この人には、やはり世界の舞台がよく似合う。

石川県珠洲市にあるスズドリームクラブ(SDC)を指導する浅田久美先生。
元女子日本代表監督である。
昨年に続き、先日バンコクで開催された世界ユース選手権にコーチとして帯同した。

珠洲から世界へ。
そのビジョンを胸に、ご主人の浩伸氏と共にウエイトリフティング教室を立ち上げたのは5年前。

それから2年後の2014年の夏。
全国中学生選手権に、大勢の子供たちを引き連れてやって来た久美先生。
その人数に圧倒されている管理人に、「数で勝負!」と、いつものノリ。

「遊びたい盛りの子供たちを、どうやってウエイトに引き付けてるんですか?」と質問する管理人。
あまりにも真剣に尋ねたので久美先生は一瞬 口ごもったが、すぐにいつもの先生に戻り、「お菓子で釣る!!」と一言。

久美先生らしい解答だが、お菓子だけで厳しい練習に繋ぎ止めておくことなどできないということを、一番わかっているのも先生自身だろう。

今やSDCは数だけではなく、その実力も備わってきた。
日本を飛び出し、世界に進出する選手が育つまでにいたっている。

かつて南部工業高校の選手が、「僕たちが、屋良先生を世界へ連れて行く」と言っていたのを思い出した。
なんとも頼もしい教え子である。

長く珠洲に引きこもっていた(笑)久美先生を再び世界へ連れ出したのは、二人の女子選手である。
昨年の世界ユースに出場した中島一馨選手。
そして今年、中島選手に加えて山下笑佳選手が世界ユースのプラットに立った。
彼女たちや国内で活躍している他の選手たちが、さらに大きな世界の舞台へ恩師を誘うことを期待する。

幼かったSDCのメンバーたちも、時と共に成長した。
人生の節目を迎える中で、やがて石川県から巣立って行く選手も起こるかもしれない。
そのとき彼らは、新たな指導者の下でウエイトと向き合うこととなるだろう。

けれども彼らは忘れない。
初めてバーベルに触れたあの日…
誰がシャフトの握り方を教えてくれたかを。

愛された日々の記憶は、血液と共に彼らの全身を巡っている。
たとえ将来、故郷を離れる日が訪れたとしても、彼らは決して忘れない。
育ててくれた人の名を。

<参照>
リフター魂57 “元祖”美女リフター
リフター魂40 浅田浩伸選手


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よっちゃん&久美先生
管理人が最初に出会ったSDCのメンバー
(全国中学生選手権にて)

この大会で活躍した選手たちの記事
リフター魂65 全国中学生選手権2014①
リフター魂66 全国中学生選手権2014②

この大会結果により、長崎国体の女子イベント事業に中島選手と小林紗良花選手ら5人の中学生が出場している。
彼女たちは女子選手として、初めて国体のプラットに立った。
リフター魂67 女子中学生リフター
リフター魂68 長崎国体記念全国中学生選抜大会
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2017/02/03

リフター魂87 宮本昌典選手(東京国際大学)

金メダリストからのオファー。
迷いはなかった。
高校4冠を携えて、彼は2年前、東京国際大学の門をくぐった。

オリンピックのメダリストを育てたい。
2020年東京五輪開催決定を受け、東京国際大学に新設されたウエイトリフティング部の監督に就任した三宅義信氏。
そのビジョン実現のために白羽の矢が立てられたのが、当時高校2年生だった宮本昌典選手である。

レスリング選手だった父・裕二氏のDNAを受け継いだ… はずだった。
ところが、幼き日に始めたレスリングは連敗の日々。
彼の性格上、対戦相手に攻め入ることがどうしてもできなかった。
そんなわが子の姿に心を痛めた父は、彼をウエイトリフティング教室へ通わせることにした。
父のこの決断が、日本男子ウエイト界にニューヒーローを誕生させることとなった。

指導に当たったのは、沖縄工業高校の平良真理先生である。
オリンピアンの平良先生は、彼にとって憧れの存在。
小学6年生の小さな心は躍った。
平良先生の指導の下で成長していった彼は、中学記録、高校記録を次々と塗り替えて行く。

そして2015年の春、高校チャンピオンは、万全の受け入れ態勢で東京国際大学に迎え入れられた。

故郷を離れ、埼玉で暮らす日々。
環境の変化や指導方法の違いに戸惑うことは誰しも経験する。
彼も決して例外ではなかった。

伸び悩む彼の記録に、遠くから心配していたのは恩師・平良先生である。
半年後に帰郷した彼は、先生のもとを訪ねた。
するとたちまち元気を取り戻し、勢いに乗ったという。

沖縄で心配していたのは、平良先生だけではない。
記録よりも、その健康を心配していた人。
母・由美子さんである。
慣れ親しんだ母の手料理も、彼の復調を後押ししたことだろう。

彼に尋ねてみた。
「大学の食事とお母さんのお料理、どっちが美味しい?」
彼はにっこり微笑んで「種類が違いますから…」と。
話の流れの中でふと出た質問だが、我ながら愚問であったと省みた。

栄養士が、アスリートのためにデータをベースに作成したメニュー。
母が、息子のために愛情をベースに作った手料理。
確かに種類は違う。
比較できないのは当然である。

埼玉での大学生活も、まもなく2年が過ぎようとしている。

現在、69キロ級のスナッチとトータルでジュニア記録・大学記録を有する彼。
「残るジャークも揃えたいね」と言う管理人に、「はい」と答え、そして彼はこう続けた。
「日本記録もです」

日本記録!?
驚いて69キロ級ジャークの日本記録を確認した。
なるほど。
手が届かない重量ではない。

昨夏、Riocentro Pavilion(リオ五輪で重量挙げ競技が行われた場所)で、三宅宏実選手の銅メダル獲得の瞬間を目の当たりにした彼。
その見つめる先は、2020年東京五輪。
さらにはその4年後の大会である。

幼き頃、嫌々やっていたというレスリングの練習。
彼のフォームのしなやかさは、その練習で培われたものである。
人生において、無駄なことなど一つもない。

中学・高校時代、平良先生からそれぞれの種目をきっちりと指導された彼。
そして大学では、三宅敏博コーチの下でパワー系の練習に力を注いでいるという。

素直な彼は100パーセント受け止めて、それを力に変換する。
直き心の故に愛されて、彼は今日、20歳の誕生日を迎えた。

育んでくれた南の島。
レスリングで負け続けた日々、慰めてくれた青い海。
ウエイトで頂点に立った日、祝福してくれた優しい風。
「沖縄が恋しい」と彼は語る。

それでも彼はきっぱりと言った。
「オリンピックを目指すなら、(大学卒業後)沖縄へは帰れません」と。

ウエイト王国の小さなプリンス。
あどけなかった少年リフターは凄まじい勢いで成長を遂げ、いつしか巣立ちの時を迎えていた。

2年前の春、那覇空港を離陸した彼は、その翼に夢を乗せて、今も大空高く飛び続けている。


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リフター魂47 男子62キロ級
リフター魂62 全日本選手権2014②
リフター魂86 東京国際大学ウエイトリフティング部


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リフターとしては、決して恵まれた手ではないようである。
それでも「(糸数)陽一さんの手に似てるんです」と言ったときの彼は、少し嬉しそうだった。
糸数先輩に続き、この手で日本記録&オリンピックを目指す。

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20歳のお誕生日おめでとう♪
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