2015/07/31

リフター魂74 近畿総体開幕

青空の下で


青い空に湧き立つ雲。
眩い陽射しの中で、 陽炎のように想いが揺れる夏。

「2015 君が創る近畿総体」が幕を開けた。
明日はウエイトリフティングの開会式が行われる。

管理人は過去に一度、ウエイトの開会式に出た。
2010年の美ら島沖縄総体である。
南部工業高校の久米大輝主将の堂々とした選手宣誓が、会場に響き渡った。

開会式終了後、興奮気味に管理人たちの方に近付いてきた久米主将。
開口一番。
「『青空の下で』なんて言っちゃった~」

青空の下で… 
確かに彼はそう言っていた。
で… それが何か!?

ウエイトリフティングは屋内競技なのに… という意味なのだろうか。
それなら大丈夫!! 君は間違っていない!
屋根の上には青空があるから。

ところが…
台風接近のため、競技が行われた4日間のうち3日間は厚い雲が空一面を覆っていた。
それでも… 
大丈夫!! 雲の上には間違いなく青空が広がっているから。

想像の翼を広げ、五感を研ぎ澄ませば、いろんなものが見えてくる。
バーベルはなぜ重いのか。
地球上に存在する“見えない力”が、日々リフターたちに戦いを挑む。
八方塞がりのように思えるときでも、視線を上に向ければ、天の一角は開いている。

今夏のインターハイ。
志を高く、目線も高く。
重力に抗い、確かにある青空に向かって、高々とバーベルを持ち挙げてほしい。


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選手宣誓をする久米主将(上田貢氏のHPからお借りした写真)
今年は、誰がどんな宣誓をするのだろう。
言ってほしいな~ 「青空の下で」と♪
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2014/08/20

リフター魂64 インターハイのヒーローたち

インターハイ初観戦から6度目の夏。
それぞれの夏を彩ったヒーローたちに再会するため、記憶の糸をたどってみた。


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2009年 近畿まほろば総体

62キロ級優勝 糸数陽一選手(豊見城高校)
肩を痛めて臨んだインターハイで、チャンピオンは王座を死守した
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ウエイトリフティングと出合って50日後に開催されたインターハイ。
偶然? それとも必然? 場所は管理人の地元、奈良だった。

2ヶ月前までは、インターハイ(しかもウエイトリフティング)を観戦するなど、夢にも思っていなかった管理人。
先に入っていたスケジュールをこなしながらの観戦となった。
そんな管理人の前に、彼はあまりにもさわやかに登場した。

初日。
スケジュールを消化し、試合会場にたどり着いたときにはすでに夕方。
62キロ級Aのジャークが始まっていた。
管理人を見つけた姪が近寄ってきて、「糸数君が出るよ」。
「糸数君って誰?」
スーパー高校生リフター・糸数陽一選手を、当時の管理人は知らなかったのである。

試合終盤に登場した彼。
自己ベストを大きく下回るスタート重量にもかかわらず、1回目を失敗。
続く2回目も失敗。
場内騒然…。
管理人には、何が起こっているのか全くわからなかった。

そして3回目…。
肩の痛みに耐えて、彼は差した。
万雷の拍手にガッツポーズで応えた彼。

翌々日の午後。
仕事を片付けて試合会場に到着した管理人を迎えてくれたのは、彼の輝く笑顔だった。
たまたますれ違った初対面の管理人に、満面の笑みで挨拶をしてくれた彼。
その笑顔は、管理人のハートを鷲掴み。

「いろんな人に応援してもらっているので、誰にでも挨拶するようにしています」
後に彼はそう語った。

管理人にとって、最も印象的な大会である。

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2010年 美ら島沖縄総体

53キロ級優勝 玉寄公博選手(南部工業高校)
ジュニア新記録樹立
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高校生でありながら、日本記録保持者という称号を持って挑んだインターハイ。
日本記録の更新はかなわなかったものの、ジュニア新で地元の大会に花を添えた。

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2011年 熱戦再来 北東北総体

94キロ級優勝 持田龍之輔選手(吉田高校)
日本高校新記録樹立
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初めて彼を見たとき、イケてる高校生リフターが現れたものだと思った。
当初、余裕の85キロ級だった彼がすくすくと成長し、今では105キロ級。
もちろん記録も成長している。

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2012年 北信越かがやき総体

+105キロ級優勝 知念光亮選手(豊見城高校)
日本高校新記録樹立
村上選手との接戦を制して、トータルで優勝

+105キロ級準優勝 村上英士朗選手(滑川高校) 
スナッチでは日高新を樹立し、知念選手の上位に立った

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この年の試合会場の風景
管理人は、残念ながら二人の対戦を観ることなく、試合会場を後にした。

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2013年 未来をつなぐ 北部九州総体

+105キロ級優勝 村上英士朗選手(滑川高校)
ジュニア新記録・日本高校新記録樹立
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この年も知念光亮選手との激戦で会場を沸かせた

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69キロ級優勝 生頼永人選手(明石北高校)
日本高校新記録樹立
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この時点で高校5冠を達成

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2014年 煌めく青春 南関東総体

69キロ級優勝 宮本昌典選手(沖縄工業高校)

自らが持つ高校記録を更新すべく臨んだインターハイ。
新記録の樹立はならなかったが、大会新を捨てて日高新に挑んだ彼の勇気を称えたい。

管理人は現地観戦を見送り、自宅でネット観戦

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今回、それぞれの夏に注目を集めた選手を取り上げた。
けれどもヒーローは、決して彼らだけではない。
これまでインターハイのプラットホームに立ったリフターたち。
一人ひとりにドラマがあり、その人生の中で、彼らは間違いなくヒーロー(主人公)である。
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2013/07/11

リフター魂49 母の祈り

先月、各地でブロック大会が開催された。

高校生の試合には興味がないと思っていた姉が、和歌山まで近畿大会を観戦に行くという。
「ぶどうの木Blog」で以前に数回取り上げた生頼永人選手(明石北高校)と本田大智選手(加悦谷高校)が気になったようである。
ならばと、管理人も同行することにした。
管理人にとっても、久しぶりの地区大会観戦である。
そんな管理人たちに、日高新というお土産を持たせてくれたのは生頼選手だった。

(生頼選手は、今月キルギスで開催されたアジアジュニア選手権で、近畿大会での自身の高校記録を更新した。)


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近畿大会での写真(和歌山東高校にて)


試合後、管理人が近付くと、彼のお母様が「いつもありがとうございます」とおっしゃってくださった。
過去に書いた記事へのお礼なのだろう。
明石北高校の生頼俊秀監督のDNAを受け継ぎ、大学、高校、中学でそれぞれ活躍する3人のリフターの母である。

長男の佑馬選手が明石南高校で活躍していた頃、兵庫県の関係者からこんな言葉を聞いた。
「生頼(佑馬)君は、人間的にとても魅力的な子なんですよ」
バスケットからウエイトリフティング。
幼き日より、兄の背中を追いかけてきた弟たちは、同じ道を歩んでいる。

長男と次男は、それぞれの高校でインターハイ団体優勝の栄冠を手にしている。
兄たちの雄姿を目の当たりにし、昨夏、全中デビューを果たした三男。

彼ら3兄弟の傍らには、その心身両面における成長に心を砕く母の姿がある。

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インターハイ3連覇という黄金時代を築いた加悦谷高校。
川畑勉監督のもとで当時チームを牽引していたのは、その3人の息子たちである。

3年前の全日本選手権。
大学も卒業し、すでに社会人となっていた長男の源大選手が、日本新記録が期待される中で試技に挑んだ。
記録更新はかなわなかったものの(2ヵ月後に日本新樹立)、平岡勇輝選手との接戦を制して王座に輝いた。
祝福に包まれる中、観戦席にその瞳を潤ませている一人の女性がいた。
彼のお母様だろう。

物心がついた時から、宿命のようにバーベルを触っていた息子。
華々しく活躍した高校時代から環境が変わり、伸び悩んだ大学初期の頃。
そして復活。
彼の苦悩を誰よりも知っていた母の涙である。

選手たちの指導に専念する川畑監督を支え、3人の息子を育て上げた母の姿がそこにあった。

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豊見城高校の金城政博監督を父に持つ金城3兄弟。

双子の長男と次男は高校3年生のとき、インターハイ団体優勝を経験した。
高校時代、次男の誠丸選手は「体重に気を遣った料理を出してくれた母」に感謝の言葉を綴っている。
卒業後、それぞれの大学へと進んだ二人。

高校時代、日高新の樹立など輝きを放っていた長男の聖丸選手。
リフター魂32で、彼を紹介している。)
大学進学後、彼もまた不振にもがき苦しんだ。
「生きた心地がしなかった。この負の連鎖を打破したいけど、自分でもどうしていいかわからなく苦しかった」と、後に語った彼。
成人式にも帰郷できなかった彼を、母は遠く沖縄から見守り続けた。

今春、二人の息子を社会へと送り出し、兄たちの後に続く中学生の三男の成長に心を注ぐ母の姿がある。

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父親の指導のもとで競技をしている選手は多い。
彼らが活躍すると、とかく監督である父親に注目が集まる。

日々の体力づくりに加え、時にデリケートな体重管理が必要となるウエイトリフティング。
毎日の食事の支度や身の回りのことをしている母親の存在は実に大きい。

彼らの活躍の陰には、いつも母の祈りがある。
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2013/06/10

リフター魂48 戦い済んで…

インターハイ予選が終わって、一人、また一人と、高校生リフターがプラットホームから去っていく。

高校最後の夏、インターハイ出場、そして入賞を最終目標に掲げ、多くのものを犠牲にして走り続けてきた高校3年生たち。
その夢が絶たれ、張りつめていた心の糸が音を立てて切れたとき、もはや彼らには、ブロック大会のプラットホームに立つ気力さえ残っていないのだろうか。

勝負の世界だからしかたがない?
高校生活の一環としてのクラブ活動でウエイトと向き合ってきた彼らを、その一言で切り捨てるのは忍びない。

「若き日に、人は、その青春を何にかけるのか。数限りない選択肢の中から、バーベルにそれをかけることを選んだ若者たちがそこにいた」
昨年、WL協会会報誌掲載用に管理人が書き綴った「ウエイトの神秘に魅せられて」の中の一文である。

その青春をかける対象としてバーベルを選んだのが彼らであるなら、それを置くときを決めるのも、彼ら自身である。
監督でもなければ、親でも友人でもない。

早朝に家を出て、来る日も来る日もバーベルと格闘し続けた彼ら。
総重量にして、いったいどれだけ持ち挙げたのだろうか。

減量に耐えた日々。
怪我に悩まされた日々。
スランプの中で、もがき苦しんだ日々。

それら全て、過ぎ去りし日の記憶がかけがえのない思い出に姿を変え、流した涙のひとしずくが宝石の輝きとなって、やがて彼らのもとへ返ってくる。
そのとき彼らの人生は、またひとつ豊かに彩られていく。

親の庇護のもとを離れ、さらに厳しい人生をかけた戦場へと赴いて行くであろう彼ら。
そこには、愛する人を守るための戦いが待っている。
重い鉄の塊を持ち挙げ続けた彼らなら、どんな困難をも持ち上げ、勝利することができると、管理人は信じる。

一つの戦いが終わった。
それは同時に、新たな戦いの始まりのとき。

インターハイ開幕まで、2ヵ月を切っている。


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“バーベル”という名のこの鉄の塊に、彼らは高校生活の大半をささげた。
いったいこの物体の何が、それほどまでに彼らを惹きつけたのだろう。
それもまた… 「ウエイトの神秘」である。
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2013/05/13

リフター魂47 男子62キロ級

春の全国高校選抜で男子62キロ級を制したのは、今年も1年生だった。
昨年の優勝者、生頼永人選手(明石北高校)は階級変更、2位の本田大智選手(加悦谷高校)はケガのため欠場という中での試合。
王座に輝いたのは、沖縄工業高校の宮本昌典選手である。

幼き日に、父親と同じレスリングを志した彼だったが、直に対戦相手と組み合うその競技は、彼の性格に馴染まなかった。
父は、レスリングを続けさせることを断念し、心優しいその息子を、旧知の間柄である沖縄工業高校の平良真理先生に委ねることにした。

直接対戦することがない、むしろ自分自身との戦いであるウエイトリフティング。
女性でもあり、シドニー五輪7位入賞の実績を持つ平良先生への憧れ。
それらが相まって、彼は楽しくウエイトと向き合った。

あどけない彼がプラットホームの上でバーベルを持ち挙げると、それだけで会場は沸いた。
小さなプリンスはウエイト王国の国民に愛され、成長していった。
そして昨年のインターハイで、1年生ながら6位入賞を果たし、今年の全国選抜ではチャンピオンの座についた。

試合翌日、欠場を余儀なくされた本田選手がポツリとつぶやいた。
「試合に出たかったな~」と。
「出てたら圧勝だったね」と言うと、「でも、(宮本選手の記録は)去年の僕らの上を行ってます」と彼。
リードしている現時点で語るのではなく、宮本選手と同学年だった一年前の自らの記録と比較し、その健闘を称える彼の潔さがさわやかだった。

姪が現役時代、当時中学生だった本田選手と一緒に合宿をしたことがある。
その時の様子を、彼女が話してくれた。
「遊びたい盛りの年頃の本田君が、誰よりもストイックに自分自身を追い込んでいた。周りに影響されない、すごい集中力で…。それでいて、いつも控えめだった」と。

昨年のインターハイの後、宮本選手は語っていた。
「本田選手は、中学校時代からの僕の目標。いつか追いつきたい。来年は競れたらいいな」と。

自分に厳しく、他者に優しい二人。
今夏のインターハイ、彼らはどの階級に挑んでくるのか。

長崎の夏が、いよいよ熱くなる。


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本田大智選手

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宮本昌典選手
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