2013/01/09

リフター魂43 バーベルを挙げる神の子

管理人は、彼の笑顔にメロメロである。
糸数陽一選手のことである。
いったいどこで、あんな好青年が獲れたのだろう?

リフターとしてはもちろんのこと、人として彼を尊敬しているという、管理人の姪が言った。
「糸数君は、神の島からやって来た神の子だよ。だから、あんなに綺麗な目をしてるんだよ」と。

神の島からやって来た神の子!?
あの強さ。あの礼節。
確かに… そうかもしれない。

彼の故郷 久高島は、周囲およそ8キロ、人口300人弱の、沖縄本島南東に浮かぶ小さな島である。
琉球の創世神アマミキヨが天からこの島に降り立ち、国づくりを始めたという伝説がある。
「神の島」とも呼ばれ、あちらこちらに聖域が点在することでも知られている。

2010年、美ら島総体観戦のため、姉と姪と3人で沖縄を訪ねた。
出発前から、姉は久高島訪問を計画し、情報収集に勤しんでいた。
沖縄に到着すると、フェリー乗り場までのルートをカーナビでチェックし、試合会場でも、豊見城高校の金城政博先生に確認するという念の入れようである。

ところが、台風接近のためフェリーは欠航。
最終日にようやく海は静けさを取りもどし、姉たちは当初の計画通り久高島へ渡った。
管理人は、南部工業高校の優勝が決まる瞬間を見届けるため、試合会場に留まることを選択した。

午後、閉会式に間に合うようにと帰って来た二人。
その表情が、どこか清々しく思えたのは気のせいだろうか。
姪は後に、「久高島では、時間が止まっているように感じた」と語っていた。

21年前、6人兄弟の長兄として、一人の男の子がこの島に産声を上げた。
空の青、海の青にも染まらずに、真っ白なまま育った少年は、やがて中学生になった。
そして2年生の時、小さな体でも頂を目指せる階級制の競技、ウエイトリフティングに出会ったのである。
島を離れ、高校での3年間を恩師・金城先生の元で過ごした彼は、さらなる高みを目指して東京の日本大学へと進んだ。

JOCの強化指定を受けてのNTCでの日々。
望郷の念にかられ、うちひしがれたこともある。
懐かしい久高島の海に思いをはせ、故郷へと続く空を仰いだ日もある。
どんなときにも、彼は、島の人々の夢を背負ってバーベルを挙げ続けた。
そして彼は、その優しさの数だけ強くなっていった。

アマミキヨは、この小さな島からこんなに強くて美しい青年が現れることを知っていたのだろうか。

神の島からやって来た、バーベルを挙げる神の子。
彼には大きな翼がある。
故郷 久高島へ、思いを運んでくれる翼。
そしてそれは、世界の大空高く羽ばたくため、神の子だけに与えられた翼である。


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久高島 ~空と海の青がきれい~
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