2018/09/24

柏木父娘の場合

何年前になるだろう。
今でも忘れられない光景がある。
場所は、大阪・はびきのコロセアム。

不本意な結果のようだった。
当時、大学生だった柏木悠里さん(現・鳥羽高校WL部顧問)は6本の試技を終え、プラットを降りると、着替えもせずに観戦席の父・佳久氏のもとへ向かった。
隣の席は空いていたが、彼女はそこには座らなかった。
佳久氏の真正面に膝をついて対峙し、父の言葉に真摯に耳を傾けていた。

5分? いや10分?
そんなに長い時間ではなかったかもしれない。
けれども管理人には非常に長く感じられた。
しばらく二人から目を離すことができなかった。

管理人の心の中を見透かしたかのように、隣に座っていた姪が言った。
「悠里ちゃん、柏木先生にいつも敬語やで」
そして、反対側に座っている姉に「私、お母さんに敬語使うなんて考えられへんわ」と言っているのを、遠くに聴いた。

なおも管理人は、父と娘を見つめていた。

娘というのは、父親のことを恐ろしく嫌う一時期を通過するものである。
それは、健全な子孫を残すために、遺伝子的に近い異性を遠ざけようとする生物としての本能(主に匂いによる)に起因すると言われている。

それゆえ管理人は、思春期の娘に嫌われていると嘆く世のお父さんたちを、しばしば励ましてきた。
「それは本能だから仕方がないよ。その時期を耐え抜いたら、また戻ってきてくれるから… でも、例外もあるよ。」
慰めておいて、最後に再び地獄に突き落とす^_^;

何事にも例外はあるものの、かつて父親を嫌っていたが、今は大好きだと言う多くの娘たちを、管理人は目の当たりにしてきた。
過去に約1500組のブライダルMCを担当したが、「両親への手紙」に、それらの思いを率直に綴る数百人の花嫁たちを実際に見てきたのである。

話を戻そう。

そういったデリケートな時期を、父と娘という関係だけではなく、師弟という関係で過ごした柏木父娘。

悠里さんにもまた、父親を避けたいと思った時期があったのだろうか。
それとも、どこまでも尊敬すべき師だったのだろうか。

こればかりは、管理人の想像力が及ばない。
機会があれば、本人に聞いてみたいものである。

彼女が姪と話している姿を見て感じたその礼儀正しさは、父の教え?
それとも、恩師のそれ?
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