2012/06/04

リフター魂32 金城聖丸選手

眩い栄光の中で、ともすると足元を見失いそうなとき、自らを省みる便(よすが)として、時に人は試みにあう。
彼の場合もそうだった。
光と闇。
その両方を見て、そして立ち上がってきた男が、最終学年になって臨んだ全日本学生選手権で連覇を果たした。
金城聖丸選手。平成国際大学の4年生である。

選手権の日、姪が切り出した。
「だいぶ前に聖丸さんからメールをもらってて・・・」と。
「いつも『ぶどうの木Blog』で沖縄の選手のことを取り上げてもらって、沖縄出身の者としてすごく嬉しい。感謝してる。叔母さんによろしく伝えておいて」という内容だったらしい。
彼とは時折、試合会場で会う。
さわやかな笑顔で挨拶をしてくれるが、直接、彼の口からそれを聞いたことはなかった。
姪からその話を聞いた時、彼の懐の深さ、その郷土愛に非常に胸を打たれたのである。

豊見城高校時代の彼の活躍は目覚しかった。
2年生で高校記録を打ち立て、さらに3年生で更新し、選抜、インハイ、国体を合わせて高校4冠を果たしている。
更なる活躍が期待される中で大学へ進んだ彼だったが、ひととき、その名が聞かれない時期があった。
JOCの強化指定を受けたものの、NTCでの生活は想像以上に過酷で、周囲がどんどん成長していく中で、彼一人、闇の中をさまよっていた。
NTCを出て平成国際大学へもどり、失われた時間を埋めていく中で、やがてチームメイトとも打ち解けた。
自分を受け入れてくれたチームに感謝し、新たな目標に向かって突き進んできた彼。

「ウエイトの魅力は、人を成長させてくれることだ」と、彼は言う。
久しぶりに会った後輩の表情や雰囲気が変わっていることに驚くことがしばしばだと。
彼自身もまた、ウエイトを通して成長した一人である。
栄光に満ちた高校時代、確かに彼は輝いていたかもしれない。
けれども当時より、その表情は心なしか柔らかくなったように思える。

卒業後の進路は?
「選手として中途半端なままで終わりたくはない。もっともっと記録も追及し、いろんな経験を積みたい」と、父親譲りの深い瞳が熱く語る。

先人たちが築いたウエイトリフティング王国沖縄。
その団結力は強く、沖縄の選手たちのことを兄弟のように思っているという彼。
王国の血を受け継ぐリフターの一人として、その誇りが、彼の内に脈打っている。
育んでくれたふるさとへの感謝を胸に、王国の歴史に、鮮やかにその名を刻んでほしい。

kiyomaru.jpg
日本代表候補の強化合宿にて
金城聖丸選手は中央後ろ
彼が兄弟のように思っている沖縄の選手たちと一緒に練習

☆金城聖丸選手☆
父は、豊見城高校の金城政博監督。双子の弟・誠丸選手は金沢学院大学へ通う。もう一人、ウエイトをやっている中学生の弟がいるが、その名がメジャーになる日も近いかもしれない。
ウエイトのイメージが強い彼だが、柔道、サッカー、陸上の経験も持つスポーツ万能青年である。非常に身体能力が高く、かつてユース合宿に選ばれた選手の体力測定の結果リストを見た姪が、ずば抜けている彼の数値に驚いたという。
現役時代の姪の、イチオシリフターである。
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Comment
『リフター魂』の隠れファンです。。。
『リフター魂』を毎号楽しみにしている(隠れ)ファンです。
心温まるエピソードや意外なウラ話をいつもいつも本当にありがとうございます。
このブログを読ませていただくと「ウエイトリフティング」という競技の奥深さに益々魅せられるから不思議です。
選手を見守る管理人の温かなまなざしや洞察力・情報網にも感心しています。
クールな切り口の文章も、私はけっこう好きですよ。

競技の映像を目にする機会は多いですが、活字での応援はすごく希少価値が高いと思います。
これからも細~く長~くウエイトネタを発信し続けてください。ずっと応援しています。。。
Re: 『リフター魂』の隠れファンです。。。
ありがとうございますm(__)m

写真や動画には映っていない部分を、なんとか文章で伝えることができれば・・・と、いつも思っています。
ウエイトリフティングとは無縁の人生を送っていた私が、ウエイトと出合って今月でちょうど3年になります。
こんなに奥が深くて興味深い世界を見せてくれた姪に感謝です♪


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